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1、回収の手段
- 取引開始(契約締結)の時点で弁護士による契約書等のチェックを受けていれば、そもそも、未回収にならない場合も多いですし、また、回収作業もスムーズにいきますので、弁護士に、早期に相談することをお勧めします。
- 貸したお金を返してもらえない、請負代金を支払ってもらえないなどの場合に取る手段には、次のものがあります。
①内容証明郵便等による催促
②簡易裁判所への支払督促の申立
③簡易裁判所への民事調停の申立
④簡易裁判所への少額訴訟の提起
⑤地方裁判所への訴訟の提起 - 内容証明郵便等による催促は、既に、ご自分で請求書等を送付しているとしても、弁護士名で送付することは有効です。「弁護士名で送付されてきた。費用をかけて本気で考えている。この後訴訟も考えられる。それは避けたい。」ということで回収できることも多くあります。
もっとも、支払をしてこない場合もあります。その場合、その後、何もしないでいると消滅時効にかかり、法的にも請求できなくなります。また、企業の場合は、相手方から甘くみられ、そのような噂が流れれば会社経営に不利益をもたらします。
2、支払督促
- 相手方の住所地の簡易裁判所に申し立てます。もっとも、簡易裁判所に出向く必要はありませんので、どんなに遠い裁判所でも費用は低額で済みます。
この支払督促によって、前述の短期消滅時効も10年に延長されるというメリットがあります。 - 裁判所から「支払督促」という書類が相手方に送付され、相手方の異議がなければ、判決と同様の効果が認められることになります。ただ、相手方から異議を出されると通常の裁判になります。
- 相手方の住所が分からないときは利用できません。
3、民事調停
- 原則として、相手方の住所地の簡易裁判所に申し立てます。調停が成立すれば、その調書は判決と同様の効力があります。
- もっとも、相手方が裁判所に出頭しなければ成立しません。また、調停も話し合いですから、相手方が応じなければ成立しません。
4、少額訴訟
- 少額訴訟は60万円以下の金銭の支払を請求する特別な訴訟です。原則として、相手方の住所地の簡易裁判所に申し立てます。
- 原則として1回の審理で終了するため、迅速に紛争解決を図ることができます。
- もっとも、相手方が通常訴訟への移行を求めた場合には、通常訴訟に移行します。
5、訴訟と仮差押
相手方の財産(預金、請負債権など)が分かるのでしたら、訴訟を提起する前に、その財産を、仮に差押えておくと、債権回収の実効性を担保することができます。
訴訟が提起されたことを知ると、それらの財産を処分する危険性があるからです。確定判決を得た後、仮差押えにかかる財産をそのまま強制執行することができます。
6、強制執行
- 強制執行するためには債務名義が必要です。債務名義には、支払督促に基づく仮執行宣言、民事調停調書、確定判決などがあります。公正証書に執行認諾条項があれば、それも債務名義になります。
- 強制執行は、大きく分けて下記の3つがあります。どれを選択するかは、諸般の事情を考慮しなければなりませんが、弁護士と相談するのが良いでしょう。
①不動産執行(不動産の差押)
②動産執行 (動産の差押)
③債権執行 (預金・給料の差押)
7、保証人からの回収
債務者からの債権回収が困難な場合、連帯保証人からの回収を検討します。連帯保証人は、債務者と全く同じ義務を負っており、借りた本人と同等の扱いになります。