遺言書の種類と作成について

遺言書には3つの種類があります。

(1)自筆証書遺言について

遺言者が内容、日付、氏名を自分で書いて、押印することで作成する遺言です。代筆やワープロで作成すると無効になります。

ただ、財産目録だけはワープロなどでも良いです。もっとも、手書き以外の財産目録は、その1枚1枚に署名押印しておくことが必要です。

また、自筆証書遺言は、亡くなった後に相続人が家庭裁判所において検認の手続きをする必要があります(民法1004条1項)。

家庭裁判所の「検認」を受けないと、遺言自体が無効になるわけではありませんが、遺言の内容を執行することができません。ですから、検認のない自筆証書遺言で相続登記申請をしても法務局は受理してくれません。

自筆証書遺言は、費用がかからずに簡単に作成できるというメリットがありますが、どこかに紛失したり、相続開始後に検認が必要であったり、日付や押印などの条件を満たしていないと無効になったり、その内容について、相続人間で争われること可能性が高いというデメリットがあります。

令和2年7月10日から、法務局が、この自筆証書遺言を預かる制度ができました。これにより、遺言がなくなることを防ぐことができることになりました。

原則、遺言者の死後50年間は現物が法務局で保管されます。コンピューターで管理されている遺言書保管ファイルの情報は150年間保管されます。

また、法務局が遺言書を保管しているため、偽造・変造のおそれはありませんから、家庭裁判所の検認手続きは不要になります。

(2)秘密証書遺言について

秘密証書遺言とは、内容を秘密にできる遺言です。

自筆証書遺言とは違い、自筆でも代書でも、ワープロで作成しても構いません。ただ、署名は自筆でする必要があります。

また、遺言者が、その遺言を封筒に入れて、遺言書に使ったものと同じ印鑑で封筒を封印する必要があります。

更に、遺言者は、その封筒を持って公証役場に出向き、証人2人以上の前で封筒を示して、自分の遺言が入っていること、自分の氏名・住所を述べて、公証人が、その封筒に日付などを記載するという手続きが必要です。

遺言者の死亡後に、家庭裁判所の検認の手続きが必要なことは自筆証書遺言と一緒です。

公証役場では、誰が遺言書を作成したかの記録は残りますが、遺言書自体はご自分で保管しなければならないので紛失の危険性もあります。

このように面倒な秘密証書遺言は、遺言の内容を誰にも知られたくないとき、例えば、内縁関係の女性との間に生まれた子供に遺産を残したいという時などに使われます。

(3)公正証書遺言について

公証人が作成する遺言です。通常は遺言者が公証役場に出向いて作成します。

公正証書遺言のメリットとしては、自分で書かなくて良い、公証役場で長期間(原則20年ですが、日本人の最高年齢の方を基準として遺言者が生きている思われる期間)保管されますので、遺言書がなくなることはありません。また、何と言っても、遺言者の亡くなった後、相続人間で争われる可能性が一番低い遺言です。

更に、相続人が公正証書遺言の存在を知らない場合でも、最寄りの公証役場で遺言された方のデータ(氏名、生年月日、証書作成年月日など)を基に遺言公正証書の有無や作成した役場名など探してくれます。

多少費用がかかるとか、証人2名の立ち会いが必要とかのデメリットはありますが、メリットの方がずっと多いと思います

弁護士に依頼すれば、弁護士が公証人と連絡を取り合って日程調整をしたり遺言内容を完成させますので、依頼者の方は、一度公証役場に行くだけで作成することができます。また、証人についても、守秘義務のある弁護士が立ち会いますので秘密が漏れることはありません。

なお、遺言書では、財産の相続だけではなく、婚外の子を認知することもできます。

また、未成年者の親権者が1人のとき、遺言で、自分が亡くなった後に親権を行う者(後見人)の指定をすることができます。ですから、「もし自分が死んだ場合、元配偶者に親権を渡したくないと思っている場合、遺言で親族を未成年者後見人に指定しておくことで、ひとまず、元配偶者に親権が渡ることを阻止することができます。

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