遺産分割協議とは

(1)遺産の共有と遺産分割協議

相続が開始して相続放棄も限定承認をしないで3か月過ぎますと、単純承認したことになります。

この時、法律的には、被相続人が死亡時に有していた一切の権利・義務を、相続人が共同相続し、共有していることになります。

この状態を解消するためには遺産分割をすることが必要で、話し合いで分割することを遺産分割協議と言います。

(2)遺産分割協議の時期は決まっているか

遺産分割協議は、いつでもすることができます。ですから、被相続人が亡くなってから数十年後に行っても有効です。

ただ、相続税の申告は、被相続人が亡くなってから、10か月以内にしなければなりませんので、申告が必要な方は、ご注意下さい。

もっとも、10か月以内に遺産分割が済んでいなくても、法定相続分で、仮の申告をしておくこともできます。

(3)遺産分割協議の方法はどうするのか

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。相続人の1人でも欠けた場合の遺産分割協議は無効です。

そんなことはないと思っていても、相続人の知らない認知された子どもがいるかもしれません。被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍などを取り寄せて下さい。これらの書類は、銀行口座を解約するなどの時にも必要になりますから、取り寄せておいても無駄にはなりません。

(4)遺産に漏れがあった場合、遺産分割協議はどうなるのか

遺産分割協議において、すべての遺産を分割しないといけないということはありません。一部の分割でも構いません。後から遺産が見つかった場合は、その時に分割協議をすることができます。

(5)遺産分割協議書は、どうやって作成するのか

遺産分割協議書では、すべての相続人が住所・氏名を書いて、氏名の後に実印を押印して下さい。そして、すべての相続人の印鑑証明書をつけて下さい。

遺産分割協議書が複数になる場合は、ページとページにまたがるように、すべての相続人が割り印を押して下さい。

遺産分割協議書につける印鑑証明書については複数になったとしても割り印は必要ありません。

遺産分割協議書は1通だけ作成して、残りはコピーを渡すということでも良いですが、原本がないと銀行で口座を解約したり、不動産の相続登記をしたりすることができませんので、相続人の数だけ作成しておくのが良いでしょう。
ですから印鑑証明書も、それぞれ、相続人の数だけ用意してもらうことになります。

遺産の内容については正確に書かないと銀行で口座を解約したり、不動産の相続登記をしたりすることができません。

預貯金については銀行名・支店名・口座番号を記載します。

不動産については、登記簿に書かれた通りに書いて下さい。ですから、遺産である不動産の登記簿を法務局で取り寄せておくことが必要です。

株式の場合は、会社名、保有株式数を書きます。保険金は、正確には、遺産ではありませんが、皆さんが同意すれば遺産目録に書いても構いません、この場合は、保険会社名、証券番号、受取る保険金額を書いて下さい。

(6)遺産分割の協議がまとまらない場合はどうするのか。

相続人の誰かが、遺産分割協議の内容に反対している場合など、遺産分割協議がまとまらない場合は、亡くなった人が住んでいた場所の家庭裁判所に、遺産分割調停の申立をするしかありません。

相続財産だけを分けるような単純な遺産分割は、弁護士に依頼しなくてもご自分でできますが、ある相続人は、生前に、たくさんのお金をもらっているとか、自分は、亡くなった人の療養監護をしたとかの事情があるときは、特別受益とか寄与分が問題になりますので、弁護士に依頼するのが良いでしょう。

遺産分割の調停では、原則、貸金債権の分割はできません。これらは、相続開始時に、すでに法定相続分で分けられたと考えるからです。ただ、全員の合意があるときは遺産分割の対象にできます。現金は分割の対象になります。詳しくは弁護士にお尋ね下さい。

(7)相続人の1人が行方不明の場合は

遺産分割協議は、相続人全員で行わないと無効です。相続人の1人が行方不明であっても、そのことは変わりません。

そこで、この場合、行方不明となっている相続人について「不在者財産管理人」を選任するよう家庭裁判所に申し立てて、不在者財産管理人が選任された後に、不在者財産管理人に遺産分割協議に参加してもらうという方法です。遺産分割協議を成立させる場合、不在者財産管理人は、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

不在者で生死が7年以上不明ですと、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行うという方法があります。失踪宣告の確定により、その相続人は法律上死亡したとみなされますので、その相続人を除いた相続人間で遺産分割協議を成立させることができます。ただ、失踪宣告の申し立てから確定まで1年くらいかかることが多いです。

失踪宣告後、生きていることがわかった場合、失踪宣告は取り消されます。もっとも、既に遺産分割が終わっていたときは、その者の生存を知らなかった相続人は、遺産分割で取得した遺産のうち残っている財産を返せば足ります。

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